入れ歯
入れ歯を入れると食事の味がしない?~理由と改善方法について解説

入れ歯を入れた後、「食事の味がしない」「美味しく感じない」と悩む方は少なくありません。
これまで部分入れ歯や総入れ歯の構造や特徴ついてコラムで解説してきましたが、なぜ入れ歯が味覚に影響するのか、その原因や解決方法については、あまりご存知ない方が多いようです。
せっかく入れ歯を作ったのに、食事を楽しめなくなってしまっては、とても残念な気持ちになりますよね。
そこで今回は、入れ歯が食事の味に影響を与える主な理由と、その改善策についてご紹介します。快適に食事を楽しむためのヒントをお伝えしますので、ぜひご参考になさってください。
入れ歯を入れると食事が美味しくないと感じる理由
入れ歯を入れると味がしない、美味しくないと感じることがあるのは、主に以下のような理由が考えられます。
舌と上顎の接触が減るため

入れ歯が上顎を覆うことで、お口の中で味を感じる部分に舌が触れる面積が減少します。このため、舌が食べ物と接触する範囲が狭まり、味を感じる能力が一時的に低下することがあります。
特に、上顎に入れ歯を入れた場合、味を感じる部分が入れ歯で覆われるため、味を薄く感じてしまうことがあります。
入れ歯の素材が影響するため

入れ歯の素材(プラスチックや金属など)によっては、食べ物の味に影響を与えることがあります。
例えば、入れ歯の一部が食べ物と触れた際に、金属の味や、プラスチック素材のにおいがわずかにしてしまい、食事の味がいつもと違うように感じることがあります。
入れ歯の素材については、部分入れ歯の種類と特徴や総入れ歯についてのコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参考になさってください。
違和感や圧迫感が生じるため

新しい入れ歯を入れると、最初は違和感や圧迫感が生じることがあります。こういった不快感が原因で、食事に集中できず、味を十分に楽しめないことがあります。
また、入れ歯がしっかりフィットしていないと、食べ物を噛む時に不安定になったり、痛みが生じたりすることもあります。こうしたことも食事の妨げになるでしょう。
口腔内が乾燥するため

入れ歯がお口の中に入ることで、唾液の量が一時的に少なくなることがあります。
唾液は味覚を感じるために重要な役割を果たしているため、唾液が減ってお口の中が乾燥しやすくなると、味を感じにくくなることがあります。
口腔内の衛生状態が悪いため

入れ歯を長く使っていると、食べ物のカスや細菌が付着しやすくなります。手入れを怠ってしまうと、入れ歯やお口の中の衛生状態が悪くなり、味覚にも影響が出るようにもなってきます。
特に、入れ歯を固定するバネが掛かる歯には汚れがたまりやすく、それが原因で歯茎が炎症を起こしたり、口臭が発生したりすると、食事が美味しくないと感じる原因にもなるので注意しましょう。
入れ歯で美味しく快適に食事を楽しむためのポイント
入れ歯で美味しく快適に食事を楽しむためには、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
定期的に歯科医院で入れ歯を調整する

上でもお伝えしたように、入れ歯がぴったり合っていないと、食事中にずれたり、噛む時に違和感が生じたりといった問題が出てきます。また、年月とともに歯茎の形状が変わったり、入れ歯自体がすり減ったりして、入れ歯が合わなくなることもあります。
入れ歯がきちんとフィットするよう、定期的に歯科医院で入れ歯の調整を行うことを忘れないでください。フィット感が良くなると、食べ物をしっかり噛めるようになり、食事の楽しさが増すでしょう。
やわらかい食事から慣れていく

特に新しい入れ歯を使い始めたばかりの頃は、硬い食べ物は避け、やわらかいものから試すようにしてみてください。例えばスープや、しっかり煮た野菜や魚などは噛みやすく、お口への負担も少ないため、おすすめです。
新しい入れ歯に慣れるまでには、少し時間が必要な場合もあります。初めのうちは違和感や味覚の変化を感じるかもしれませんが、使い続けるうちに次第に慣れて、食事を楽しめるようになる方が多くいらっしゃいます。
食事の仕方に注意する
入れ歯を使用して食事をする際は、左右の歯でバランスよく噛むといった工夫も大切です。また、食事前に口の中を水でしっかりすすぐと、入れ歯による圧迫感や違和感が和らぐこともあります。
入れ歯を清潔に保つ

前述のとおり、入れ歯が汚れていると、食べ物の味が損なわれることがあります。また、不衛生な状態は、口臭やお口の不快感の原因にもなります。
毎食後に入れ歯をきれいに洗い、定期的に専用のクリーナーでお手入れすることを忘れないようにしましょう。
唾液の分泌を促す

先ほどお話ししたように、入れ歯を使うと、唾液の量が減ることがあるので、唾液の分泌を促す工夫をしてみましょう。
ガムを噛んだり、温かい飲み物を飲んだりするのも有効です。それでも効果を感じられない場合は、コラムでもご紹介した口腔ジェルや口腔保湿剤を使うのも良いでしょう。
保湿成分が入れ歯と粘膜の間に浸透し、入れ歯の使い勝手も良くなります。口腔ジェル・口腔保湿剤の使い方のコラムで解説しているように、種類も豊富ですから、ご自身に合うものを選んでみてください。
入れ歯の種類や素材を見直す

入れ歯には様々な種類や素材があります。例えば、プラスチック製の入れ歯は調整しやすい一方、食べ物の味や温度を感じにくくなる場合があります。
一方、金属床(金属の土台)の入れ歯は丈夫で、食べ物の味や温度を感じやすいといえます。使い勝手やコストを勘案し、ご自分に合った素材の入れ歯を作るようにしましょう。
口腔ケアを怠らない

入れ歯本体だけでなく、歯茎やお口の中の状態も、食事のしやすさに関わってきます。しっかりと歯磨きや歯茎のマッサージを行い、お口の中を清潔に保つようにしましょう。
歯茎や口腔内が健康な状態であれば、入れ歯が安定し、快適な使い心地につながります。
どうしても入れ歯に抵抗がある時は?
どうしても入れ歯を使うのに抵抗を感じる場合は、以下のような代替案もありますので、検討してみるのも良いでしょう。
インプラントを検討する

入れ歯の使い心地がどうしても気になる場合、インプラント治療も選択肢の一つです。ポラリス歯科では、世界的な信頼度を誇るストローマン社のインプラントを使用し、専用のオペ室で治療を行います。
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法の治療法です。仕上がりが自然で美しいうえに、入れ歯のように外れる心配がなく、ご自身の歯に近い感覚で噛んだり話したりできるのが最大のメリットです。

ただし、インプラント治療には外科手術が必要で、治療期間も比較的長くなります。また、患者さんの持病や服用中の薬の種類によっては、インプラント治療が行えないこともあります。インプラント治療はメリット・デメリットをよく勘案して検討することが大切です。
インプラントの特徴やメリット、注意点については、当院と同じ医療法人社団 千仁会の提携医院であるインプラントオフィス大通のインプラントコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
オーバーデンチャーを試す

オーバーデンチャーという選択肢もあります。これは、残っているご自身の歯やインプラントを支えにして、入れ歯をしっかりと固定するタイプの入れ歯です。
一般的な入れ歯に比べて安定性が高く、お口の中での違和感を抑えやすいという利点があります。特に部分入れ歯のずれや動きが気になる方は、検討してみる価値があると言えるでしょう。
オーバーデンチャーについては、通常の入れ歯よりしっかり噛めるインプラント義歯のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
歯科医師にもう一度相談してみる
入れ歯に関する不安や悩みが続く場合は、遠慮なく歯科医師に再度相談してみましょう。今使っているものとは違う種類の入れ歯や、快適に使うための調整方法などを提案してもらえる可能性があります。
心理的なサポートも視野に入れる

入れ歯を拒否する背景に心理的な理由がある場合、カウンセリングが有効なこともあります。特に入れ歯に対する不安や恐怖が強い場合、歯科医師や専門家と話すことで心の負担を軽減できるかもしれません。
入れ歯と上手に付き合い、快適な食生活を送りましょう

今回お伝えしたように、入れ歯を使っても美味しい食事を楽しむためには、入れ歯のフィット感を調整したり、入れ歯を清潔に保つことがポイントです。そのように心がけていけば、違和感が減り、食事をより楽しめるようになるはずです。
使い始めの不安や違和感は、適切なケアと調整で改善されることも多いので、焦らず、少しずつ慣れていくことからはじめましょう。
ただ、入れ歯がどうしても合わない時は、自分に合った代替案や解決策を見つけることが大切です。歯科医師と密にコミュニケーションを取り、どの方法が自分にとって最も快適で実用的かを見つけていくようにしてください。
ポラリス歯科・矯正歯科には、医療法人社団 千仁会の専門医が多数在籍し、丁寧なカウンセリングを通じて、安心して入れ歯を使用できるように、そして美味しく食事を楽しめるように、サポートいたします。入れ歯に関するお悩みがある方も、ぜひ札幌駅すぐそばのポラリス歯科・矯正歯科へご相談ください。