根管治療の種類

皆さんは、根管治療(こんかんちりょう)という言葉をご存知ですか?いわゆる「神経を抜く」処置を行う治療です。わかりやすく説明すると、下の図のような流れで根管治療は行われます。

 
根管治療の流れ
 

歯の形状は人によって異なるうえ、歯の内部は複雑な構造をしており、また、いくつかの工程を繰り返すため、根管治療を行う際には、確かな技術に基づいた精密な処置が求められます(より詳しい根管治療の進め方については根管治療の流れのコラムで解説していますので、併せてご参照ください)。

歯を末永く残す

虫歯が歯の内部まで大きく進んでしまうと、痛みだけでなく、神経や血管、骨にまで炎症が広がることもあり、抜歯をするしかない状況にもなってしまいます。ポラリス歯科・矯正歯科ではマイクロスコープを使い、丁寧で精密な根管治療を提供していますが、それは歯を末永く残すためにとても大切な治療だからです。

 

今回は、そんな根管治療について詳しく解説したいと思います。

根管治療とその種類

そもそも根管とは、歯の内部にある歯髄(しずい)がある部分を指し、血管や神経が通っています。この領域まで虫歯菌が入り込むと、ひどい痛みや炎症に悩まされることになります。

歯の構造

ここまで虫歯が進行してしまった場合、感染した歯髄を丁寧に除去し、内部をしっかりと消毒した後、充填剤を入れて密封する必要があります。根管治療とは、この一連の処置を指す歯科治療です。

 

根管治療の種類

さらに根管治療は、歯の状態や症状によっていくつかの種類に分けられます。根管治療の種類には、

  1. 麻酔抜髄(ますいばつずい)
  2. 感染根管治療
  3. 再根管治療

の3つがあります。少し専門的な用語ですが、順を追って解説しますのでご安心ください。またどんな症状の時に行うのかも、各々についてお話ししていきます。

麻酔抜髄

麻酔抜髄
 

歯の神経が生きている歯を生活歯(せいかつし)と呼びます。麻酔抜髄は、この生活歯に対して行われる根管治療です。

 

お伝えしたように、虫歯が進行すると、歯髄に細菌感染が起こり、痛みが生じます。歯髄炎(しずいえん)という炎症を起こしてしまっていることもあります。この歯の痛みを取り除くために行われるのが麻酔抜髄です。麻酔抜髄と言わず、単に抜髄と言うこともあります。

麻酔抜髄が必要となる症状

上述のとおり、麻酔抜髄が必要になる症状は、歯の痛みということになります。ズキズキとした強い歯の痛み、時には反対側の歯が痛いように思われるなど、どの歯が痛くなっているのかわからないほどの激しい痛みを感じることもあります。

 

また、冷たいものだけでなく、温かいものにも痛みを感じるようになります。痛みが強いため、痛み止めの薬も効かない、あるいは、すぐに効果が薄れてしまうといった状態にもなります。

麻酔は必須

麻酔抜髄では、歯の神経はまだ生きているので、その名のとおり麻酔が欠かせません。あまりに痛みが強い場合は、麻酔の効果も下がってしまいますので、いきなり麻酔抜髄に進まず、痛みを和らげる処置を優先して行うこともあります。そして、麻酔が効きやすい状態にまで落ち着かせてから麻酔を行い、神経への処置を開始します。

感染根管治療

感染根管治療
 

先ほどの生活歯とは異なり、歯の神経が反応しなくなった歯を失活歯(しっかつし)と呼びます。感染根管処置は、失活歯に対して行われる根管治療です。

 

失活した歯の歯髄組織は、虫歯の細菌感染により壊死しています。そのまま放置していると、根尖病巣(こんせんびょうそう:歯の根の先端に炎症が起こり、膿みが溜まる状態)が生じ、歯を噛み合わせた時の痛みや、歯肉の腫れなどの原因になります。

 

そこで、壊死した歯髄組織を取り除き、感染した根管内部をきれいに清掃するために行われるのが、感染根管治療です。ただ、歯の神経は壊死しているので麻酔の必要はありません。

感染根管治療が必要となる症状

感染根管治療が必要な症状は、急性期と慢性期に分けられます。

 

急性期の症状は歯の痛み、特に食べ物を噛んだり、上下の歯を噛み合わせた時の痛み、そして、歯肉の腫れです。この痛みはかなり強く、夜も眠れないほどになることもあります。

 

慢性期の症状は、歯肉の違和感や歯が浮いた感じ、軽い痛みなどです。歯肉に瘻孔(ろうこう)という膿の出口ができていることもあります。

再根管治療

再根管治療
 

再根管治療とは、一度根管治療を終えた歯が再び細菌感染した場合に行われる根管治療を指します。

 

根管治療は、根管内部を人工材料で埋める根管充填という処置で終わります。根管充填がきちんとできているかどうかは、レントゲン写真を撮影して確認しますが、細菌レベルで見ると隙間がある可能性はゼロではありません。

 

根管充填をしたにもかかわらず、再度細菌に感染してしまうのは、この隙間から細菌が広がっているのが原因です。歯の根元の先端には、膿みが溜まっていることもあります。再根管治療では、充填物を取り除いて根管を開放し、一度治療した歯の根管内を再び消毒して、感染を取り除く処置を行います。

 

また、再根管治療では、すでに歯の神経は除去されているので麻酔の必要はありません。

再根管治療が必要となる症状

根管充填がされている歯のうち、歯肉の腫れや瘻孔の形成、歯が浮いた感じや、噛み合わせた時の痛みなどを生じている場合は、再根管治療が必要になります。

根管治療で予後が悪い時は?

根管治療で予後が悪い時は?
 

もし、根管治療を受けても改善が芳しくない場合は、抜歯や歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)などの外科処置が選択肢に挙がってきます。

 

根管治療で経過が悪い時、その多くは根管内の感染や汚染を完全に除去できていないことが原因です。抜歯をすれば、大切なご自身の歯は失われてしまいますが、根管内の感染や汚染も一緒に取り除けますので、症状と原因が同時になくなります。

 

歯根端切除術とは、歯の根の先を除去する処置のことです。先述のとおり、歯の根の先にたまった膿を根尖病巣といいます。

 

根尖病巣の治療には、根管治療が第一選択なのですが、どうしても根管治療では改善が難しい場合、根尖病巣を外科的に除去し、原因となっている歯の根の先端部分も一緒に取り除きます。抜歯と違い、歯根端切除術では歯を残せるのが利点と言えるでしょう。

可能な限りご自身の歯で生活できるよう

可能な限りご自身の歯で生活できるように
 

今回は、根管治療の種類についてお伝えしました。まとめますと、生活歯に対して行われるのが麻酔抜髄、失活歯に対して行われるのが感染根管治療、根管治療を一度経験した歯に対して行われるのが再根管治療です。

 

目的や必要となる症状はそれぞれ異なりますが、最終的に目指すところは同じで、「可能な限り歯を残すこと」です。

 

ポラリス歯科・矯正歯科では、歯をできるだけ長い間残し、ご自身の歯で生活できるようにすることを目標に治療を進めています。ご紹介した症状が思い当たる方や、他の歯科医院で根管治療を受けたけれどしっくりとこないという方は、ぜひポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください。

 

根管治療コラム

患者さんの関心も高い根管治療について、コラムを連載しております。ご興味のある方は、ポラリス歯科・矯正歯科の根管治療と併せてご参照ください。