セラミッククラウンの種類

セラミッククラウン
 

虫歯で歯を大きく削ることになった場合や、ケガや事故で歯を破折(はせつ:割れたり、折れたりすること)した場合などに、クラウンと呼ばれる被せ物を使用して、傷んだ歯を修復する治療を行います。

 

ちなみに、詰め物をインレー(Inlay)と呼び、今回のコラムのテーマでもあるクラウン(Crown)は英語では王冠を意味し、歯冠(しかん)という歯茎の上に出ている歯の部分に被せるように装着します。

 
インレーとクラウン
 

もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、患者さんの歯の状態に合わせ、最適な詰め物・被せ物をご提案しますが、やはりもし治すなら、自然できれいな歯にしたいという声を患者さんより多くいただきます。

 

本物の歯のような仕上がりを求める場合、選択肢としては、セラミッククラウンというセラミック(陶器)製の被せ物が有力な候補になります。実際の写真も上述の詰め物・被せ物のページでご覧いただけますので、宜しければご参照ください。

進化するセラミッククラウン

そんなセラミッククラウンですが、以前はメタルボンドと呼ばれるものが主流の時代がありました。しかし現在ではジルコニア・オールセラミッククラウンe-maxなど、審美性や素材面で進化した新しいセラミッククラウンも登場しています。今回は、各種セラミッククラウンの種類と特徴、メリット・デメリットについてお話ししていきましょう。

メタルボンド

メタルボンド
 

メタルボンドは、その名のとおり、金属(メタル)とセラミックを組み合わせたセラミッククラウンです。

 

また、セラミッククラウンのセラミック材料として長年利用されてきたのが、ポーセレンという素材です。ポーセレンで治した歯は、とてもきれいな仕上がりが得られるのですが、その反面、割れやすいという短所がありました。

 

メタルボンドは、ポーセレンの内側を金属で補強し、割れにくくしたセラミッククラウンです。金属焼き付けポーセレン、陶材焼付鋳造冠(とうざいやきつけちゅうぞうかん)、セラモメタルなどとよばれることもありますが、全て同じものです。

 

50年以上の歴史を持ち、冒頭でお伝えしたように、セラミッククラウンといえばメタルボンドを意味するほど、長らく主流だったセラミッククラウンです。

メタルボンドのメリット

  1. 破損しにくく強度がある
    ポーセレンの弱点である割れやすさを内側の金属で補強しているので、大変強度があり、壊れにくくなっています。
  2. 構造上の問題がない
    上述のとおり、長年使用されてきたため、50年以上の歴史の中で改良が繰り返し行われており、構造上の問題もほとんど解消されています。被せ物としての安定感も高い素材です。
  3. ブリッジにも使える
    補強している金属材料は強度が高いので、ブリッジという大きな被せ物にも十分耐えられます。

メタルボンドのデメリット

  1. 自然さが少し劣る
    メタルボンドの内面を補強している金属は光を通しません。ポーセレンの仕上がりの良さは、その優れた光の透過性によって得られるのですが、内面の金属の方には光の透過性がないため、ポーセレンの利点がわずかですが損なわれてしまいます。
  2. 金属アレルギーの方には使えない
    内面に使う歯科用の金属材料に対し、アレルギーがある方には使えないのも、メタルボンドのデメリットです。

ジルコニア・オールセラミッククラウン

ジルコニア・オールセラミッククラウン
 

ジルコニア・オールセラミッククラウンは、セラミック材料だけで作られたセラミッククラウンです。ジルコニアとは、人工ダイヤモンドとして利用されているセラミック素材です。

 

とても硬く、頑丈なのですが、硬さゆえに加工が難しく、セラミッククラウンに使えるほどの精度を出すことが、なかなかできませんでした。しかし近年、コンピューターを使った工作機械の精度が高まり、セラミッククラウンに応用できるようになり、メタルボンドの金属に代わる歯科材料として利用されています。

ジルコニア・オールセラミッククラウンのメリット

  1. 本物の歯のような自然な仕上がり
    ジルコニアは光透過性のあるセラミック材料です。ポーセレンの利点である光透過性が損なわれず、本物の歯と同じような自然な仕上がりが得られます。
  2. 金属アレルギーの方にも使える
    ジルコニア・オールセラミックは、金属材料を一切使っていないので、金属アレルギーの方にも安心して使用していただけます。
  3. 改良も繰り返し行われている
    ジルコニアは、審美性の高さから需要が高く、改良が繰り返されています。以前のジルコニアは、ポーセレンと組み合わせる必要がありましたが、新しいジルコニアなら、ジルコニアだけでも自然な仕上がりを得られるようになりました。
  4. ブリッジにも使える
    ジルコニアはとても硬いセラミックであり、十分な強度を持っていますので、ブリッジのような大きな被せ物にも利用できます。

ジルコニア・オールセラミッククラウンのデメリット

  1. 本物の歯よりも硬い
    お伝えしたように、硬さはジルコニアの持つ利点の一つなのですが、本物の歯よりも硬いので、噛み合わせのバランスによっては、噛み合う歯がすり減ってしまう原因にもなります。
  2. 加工には専用機材が必要
    ジルコニアはその硬さゆえに、加工するためには専用の機械が必要です。

e-max

e-max
 

e-maxは、イボクラール・ビバデント社が開発した、二ケイ酸リチウムガラスセラミックというガラスセラミック材料で作られたセラミッククラウンです。正式名称はempress max(エンプレス・マックス)ですが、略してe-maxといいます。

 

こちらもジルコニア・オールセラミックと同じく、セラミック材料だけで作られています。二ケイ酸リチウムガラスセラミックは、高温でガラスを溶かし、型に流し込んで製作するため、プレスセラミックとも呼ばれます。

e-maxのメリット

  1. 透明度が高く、自然な仕上がり
    素材がガラスセラミックなので、透明度が高いのが特徴です。エナメル質の透明感をしっかり再現できるので、自然な仕上がりが得られます。
  2. 強度のバランスが良い
    e-maxの強度は、本物の歯と同じくらいです。先ほどのジルコニア・オールセラミックとは違い、噛み合わせる歯がすり減ったり、欠けたりしにくいのも利点です。
  3. ポーセレンを必要としない
    e-maxは、他のセラミッククラウンのようにポーセレンを使いません。二ケイ酸リチウムガラスセラミックだけで作られるため、製造の際に加工の手間が少ないのも良い点と言えるでしょう。
  4. 金属アレルギーの方にも使える
    ジルコニア・オールセラミックと同様に、こちらも金属材料を使わないので、金属アレルギーの方でも問題なく使用することができます。

e-maxのデメリット

  1. ブリッジには使えない
    e-maxは、強度が本物の歯と同程度とバランスが良いものの、その強度では大臼歯などの奥歯のブリッジや、4本以上の大きなブリッジに用いるのは困難です。
  2. 元の歯の色が透過する
    e-maxは透明度が高い分、被せている元の歯の色が見えてしまう可能性があります。

患者さん一人一人に合ったセラミッククラウンを

患者さん一人一人に合ったセラミッククラウンを
 

今回は、各種セラミッククラウンの種類と特徴についてお話ししました。再度まとめますと、強度や長年使われてきた安定性を求めるなら、メタルボンドが候補に挙がります。金属アレルギーがある方や、より本物の歯に近い、自然な美しさを求めるなら、ジルコニア・オールセラミックやe-maxがおすすめです。

 

もちろん、それぞれ異なる特徴を持っていますので、ご自身に適した素材のクラウンを選ぶことが大切です。ポラリス歯科・矯正歯科は、患者さんのご要望と、お口の状態や使用する箇所に応じて、最適な素材による治療を提供いたします。今回のコラムでセラミッククラウンにご興味をお持ちになった方は、当院でお気軽にご相談いただければと思います。