虫歯ではないのに歯の根元が削れるNCCL(非う蝕性歯頚部病変)とは?

虫歯じゃないのに歯の根元が削れるNCCL(非う蝕性歯頚部病変)とは?
 

「歯の根元あたりにくぼみがあるけれど、これって虫歯?」
「冷たいものを飲むと歯の付け根がピリッと痛む」
このようなお悩みはありませんか?

 

今回のテーマであるNCCLとは、虫歯以外の原因で歯の根元部分(エナメル質とセメント質の境目付近)が削れたり、欠けたりしてしまう状態のことです。

 

放置すると知覚過敏や歯ぐきのトラブルに繋がることもありますので、注意が必要です。このコラムでは、NCCLがどのような病気なのか、くさび状欠損との違い、原因や治療法などについて解説します。

NCCL(非う蝕性歯頚部病変)って何?

NCCL(Non-Carious Cervical Lesions)とは非う蝕性歯頚部病変
 

NCCLはNon-Carious Cervical Lesionsの頭文字をとった専門用語です。日本語では非う蝕性歯頚部病変(ひうしょくせいしけいぶびょうへん)と少し難しい名前で呼ばれています。う蝕とは虫歯のことなので、冒頭で触れたように、「虫歯以外の原因で、歯の歯冠の根元が欠けた状態」を指します。

くさび状欠損との違い

くさび状欠損(WSD:Wedge-Shaped Defect)
 

NCCLについて調べていると、くさび状欠損(WSD:Wedge-Shaped Defect)という言葉を見かけることがあるかもしれません。くさび状欠損も、虫歯ではないのに歯冠の根元付近が欠けたものです。

 

ですが、NCCL=くさび状欠損ではありません。

 

くさび状欠損は、文字通り、薪割りで使う「くさび」を打ち込んだように、断面がシャープなV字型や三角形に削れている状態を指します。

 

一方のNCCLは、V字型の削れ方だけでなく、なだらかなお椀型やくぼみなど、さまざまな削れ方の形をすべて含んだ総称を指します。

NCCLを引き起こす3つの原因

虫歯でないのに、どうして歯が欠けるのでしょうか。実はNCCLの原因は一つではなく、次に挙げるような要因が組み合わさって起こると考えられています。

強すぎる歯磨き

NCCLを引き起こす3つの原因:強すぎるブラッシング
 

「歯を白くしたい!」「汚れをしっかり落としたい!」と思うあまり、硬めの歯ブラシを使って力いっぱいゴシゴシと磨いていませんか?

 

硬めの歯ブラシで強く擦ったり、研磨剤の多い歯磨き粉を使用したりすると、歯の根元に大きなダメージを与えてしまうため要注意です。

歯の酸蝕

NCCLを引き起こす3つの原因:歯の酸蝕
 

歯は酸に非常に弱く、レモンなどのお酢系の食品、スポーツドリンク、コーラなどの炭酸飲料、ワインなどを好んで頻繁に口にする習慣があると、これらの食品に含まれる酸により、歯の表面が少しずつ溶けて柔らかくなってしまいます。

 

これが、職業別の歯やお口に起こりやすい症状とはや、マラソンやランニングをする方に多いお口のトラブルって?のコラムで解説した酸蝕症(さんしょくしょう)です。

 
酸蝕歯
 

また、逆流性食道炎や胃食道逆流症(GERD)(※)で胃酸が逆流しやすい方も、強い酸によって歯が溶けやすい状態になります。酸で柔らかく弱くなった歯に、先ほどの「強い歯磨き」が加わると、一気に歯が削れてしまうという悪循環に陥ることがあります。

 

(※)胃食道逆流症(GERD)の歯への影響については、提携医院である町田歯科胃食道逆流症(GERD)が歯を溶かす!?歯が溶ける?酸蝕症(さんしょくしょう)ってなに?のコラムでも解説しておりますので、興味のある方は併せてご参照ください。

歯ぎしり・食いしばり

NCCLを引き起こす3つの原因:歯ぎしり・食いしばり
 

これらに心当たりがないという方は、寝ている間の歯ぎしりや、食いしばりが原因かもしれません。気になる方は、コラムでご紹介した歯ぎしりのセルフチェックをしてみましょう。

 

歯ぎしりによる弊害のコラムでお伝えしたように、人間の噛む力はとても強く、体重と同じくらいの重さが歯にかかると言われています。これが歯に悪影響を及ぼすことがあります。

 

歯ぎしりなどで強い力がギュッと加わると、歯は「たわみ」ます。このたわみの中心は歯冠の根元あたりにあり、その結果、歯が欠けてしまうというわけです。ただ、近年別の見解もあり、歯のすり減りと酸蝕が複合して起こるという説が主流になってきました。

NCCLが引き起こす3つの症状

歯冠の根元付近が欠けると、以下のような症状を引き起こすことがあります。

知覚過敏

NCCLが引き起こす3つの症状:知覚過敏
 

歯の表面のエナメル質が削れてなくなると、その下にある柔らかい象牙質がむき出しになります。そしてフォースデンティンのコラムで解説したように、象牙質には、歯の神経へと続く小さなトンネルのような象牙細管(ぞうげさいかん)が無数に走っています。

 

ここに冷たいお水やアイス、甘いチョコレートなどが触れると、刺激が神経に達して、知覚過敏が起こります。悪化すると、冬の冷たい風にあたっただけでも鋭い痛みを感じることも出てきます。

見た目の変化

NCCLが引き起こす3つの症状:見た目の変化
 

歯の根元がえぐれると、歯の形が不自然に見えるだけではありません。むき出しになった象牙質はエナメル質よりも黄色っぽく見えます。

歯肉退縮(しにくたいしゅく)

NCCLが引き起こす3つの症状:歯肉退縮
 

歯の根元にくぼみができると、そこに食べカスや歯垢(プラーク)などの汚れが溜まりやすくなります。

 

デコボコしているため歯ブラシの毛先もうまく届かず、不衛生な状態が続くことで、歯茎が炎症を起こしたり、歯肉退縮(しにくたいしゅく:歯ぐきが下がってしまうこと※)が進んだりする原因になります。

 

(※)歯肉退縮について詳しくは、歯茎が下がる原因は?対策はどうする?のコラムを併せてご参照ください。

NCCLを治すには治療が必要

NCCLを治すには治療が必要~コンポジットレジンの充填
 

NCCLになり失われた部分は、基本的にはコンポジットレジンというプラスチック材料を詰める治療が行われます。コンポジットレジンについては、治療に欠かせない歯科材料『コンポジットレジン』って?のコラムで詳しく解説しておりますので、興味のある方は、併せてご参考になさってください。

 

虫歯治療とは異なるため、歯を大きく削る必要はありません。歯に似た白色の材料を詰めるため、目立ちにくいうえ、治療もその日のうちに終えられるという利点もあります。

NCCLを防ぐには?

歯のくぼみをきれいに埋めてもらったとしても、原因となった生活習慣がそのままでは、また別の歯が削れたり、せっかく詰めた材料がポロッと取れたりしてしまいます。症状を繰り返さないための、3つの予防法を紹介します。

歯科医院で自分専用のマウスピース(ナイトガード)を作る

NCCLを防ぐには?:歯科医院で自分専用のマウスピース(ナイトガード)を作る
 

歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある方は、噛み合わせの力から歯を守ることが大切です。そこでおすすめなのが、寝るときに装着するマウスピース(ナイトガード)です。

 

市販のものもありますが、自分の歯の形に合っていないと逆に噛み合わせを悪くする危険があります。歯科医院で型を取り、自分の歯と顎にピッタリとフィットするオーダーメイドのマウスピースを作る方がおすすめです。

正しい歯磨き方法を身につける

NCCLを防ぐには?:正しい歯磨き方法を身につける
 

お話ししたとおり、不適切な歯磨きがNCCLの原因になり得るので、ご自身の歯磨き方法を見直すのもNCCL予防には有効です。

 

歯科医院では、歯科衛生士が正しい方法で歯磨きができているかどうかチェックしてもらえることに加え、デンタルフロスなどの適切な使い方も教えてもらえます。

 

もちろんポラリス歯科でも、歯科衛生士によるTBI(Tooth Brushing Instruction:歯磨き指導)を通して、患者さん一人ひとりに合った歯磨き方法をお伝えしますので、お気軽にご相談ください。

食生活の見直し

NCCLを防ぐには?:食生活の見直し
 

酸っぱい食べ物や飲み物が好きな方は、少しでも食べ方・飲み方を工夫してみてください。食生活は、全身の健康だけでなく歯の健康という視点からも重要です。

 

心当たりのある方は、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士と相談し、ご自身の食生活を見直してみるのも良いでしょう。

自己判断の間違ったケアはNG!NCCLが気になるなら歯科医院で相談を

自己判断の間違ったケアはNG!NCCLが気になるなら歯科医院で相談を
 

今回お伝えしたように、NCCL(非う蝕性歯頚部病変)は、虫歯ではありませんが、そのままでいると、歯の外見を損なうだけでなく、知覚過敏などの症状の原因にもなります。自己判断で間違ったケアを続けると、さらに歯を傷つけてしまう恐れがあるので、注意しましょう。

 

ポラリス歯科・矯正歯科では、一般的な治療はもちろん、正しい歯磨きの指導や食生活のアドバイス、マウスピースの作製まで、患者さんのお口の健康をトータルでサポートしています。歯の根元部分の形に違和感がある方、しみてお困りの方は、札幌駅北口徒歩1分のポラリス歯科・矯正歯科にお気軽にお問い合わせください。