歯肉炎と歯周炎って何が違うの?

歯肉炎と歯周炎って何が違うの?
 

皆さんは歯周病という病気について、どのようなイメージを持っていますか?歯周病という単語は、歯みがき粉のCMなどで耳にする機会も多いかと思います。昔は歯槽膿漏(しそうのうろう)と言われることもありました。

 

実は歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位なんです。なんと日本の45歳以上の人は、半数以上が歯周病と言われるほど、罹患率の高い病気です。

 

そして、そんな歯周病の中でも歯肉炎歯周炎という言葉を聞いたことはあるでしょうか。歯科医院での診断時に、そう伝えられた方もいらっしゃると思います。

 

でも、歯肉炎や歯周炎と言われると、響きは似ていますから、患者さんからすると「同じものなのか?違うものなのか?」「重症度に違いあるのか?」等々気になることもありますよね。たしかにポラリス歯科・矯正歯科でも患者さんから質問を受けることがあります。

 

そこで今回は、歯周病の成り立ちと、歯周炎・歯肉炎の違いについてご説明します。

歯周病とは

歯周病とは

歯周病の定義

歯周病は、口の中の細菌が原因となって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯茎や、歯を支える周りの骨などが溶けてしまう病気です。

歯周病の原因

口の中には400~700種類もの細菌がいます。その中には、歯周病を引き起こす歯周病原細菌と呼ばれる細菌もおり、代表的なものにジンジバリス菌があります。

 

歯の周りにつく歯垢(プラーク)は、実は細菌の塊です。プラーク1mgの中におよそ10億個もの細菌が生息していると言われていて、歯磨きを頑張ってもすべてのプラークを除去することは難しく、除去しきれないプラークの中の細菌が歯周ポケットの中に侵入します。

 

それらの細菌が原因となって歯茎の炎症を起こし、歯周病が始まります。

歯肉炎と歯周炎

歯肉炎と歯周病

歯周病の始まりは歯肉炎

歯周病の初期段階では、歯周ポケットの中の細菌が出す毒素により、歯茎が腫れて炎症を起こします。この歯の周りの歯茎だけが腫れた状態が歯肉炎です。

 

歯肉炎の状態の炎症は軽度のため、しっかりと歯磨きをして、プラークを除去することで炎症の改善につなげることができます。

歯肉炎が悪化すると歯周炎に

お伝えしたように、歯肉炎は歯の周りの歯茎の軽度な炎症です。しかし歯肉炎の状態を放置してしまうと、炎症が歯茎だけでなく、歯の周りの歯根膜(しこんまく)と呼ばれる組織や、歯を支える骨にまで広がってしまいます。この歯肉炎が悪化した状態が歯周炎です。

 

歯周炎になると、歯の周りの歯周ポケットが深くなり、歯茎の奥深くまでプラークの中にいる細菌が入り込んできます。

 

歯周ポケットが深くなればなるほど、歯ブラシでプラークを除去することが難しくなります。そして歯茎の奥深くに細菌が入り込むことで、炎症が骨にまで広がってしまいます。

 

炎症が骨まで波及すると、歯を支える骨が溶けていき、歯がグラグラしてきたり、いずれは歯が抜けてしまう場合もあります。

歯肉炎・歯周炎の症状

歯肉炎・歯周炎の症状

歯肉炎の症状

歯肉炎は歯茎周りの歯肉に限局した炎症のため、痛みなどの自覚症状は少ないケースが多いのです。歯磨きの時に歯肉から出血したり、歯茎が腫れた感じや浮いた感じがするといったことで気付くこともあります。

歯周炎の症状

歯肉炎が歯周炎に進行した初期の症状では、歯茎の腫れや出血といった症状の他に、口臭が気になることもあります。

 

さらに歯周炎が進行していくと、歯茎が下がって歯が長くなったように見えたり、歯と歯の間に物が詰まりやすくなったりします。また、冷たいものなどで歯がしみる知覚過敏の症状が出てきたり、歯の位置が動くことで歯並びが悪くなったり、口臭もさらに強く感じるようになります。

 

重度の歯周炎になると、歯がグラグラしたり、歯茎から膿が出たり、強い痛みを感じたりといった症状が出てきます。最終的には歯が抜けてしまうこともあるのです。

歯周病の予防方法

歯周病の予防方法
 

歯周病の予防に何より重要なのは、日々の歯磨きです。

 

お伝えしたように、歯の周りにプラークが付着し、プラーク中の細菌が毒素を出すことで、歯茎が腫れて歯周ポケットが深くなっていきます。歯周ポケットが深くなると、歯ブラシでプラークを除去することが難しくなり、さらに歯周病が悪化してしまいます。

 

歯周病予防のためには、歯肉炎が歯周炎にならないように、炎症の初期段階でしっかりプラークを除去して炎症を抑えることが最も大切です。

 

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシの使用など、お口の状態によって適切な歯磨きの仕方は異なります。

 

歯科医院でしっかりと自分のお口に合った歯磨きの方法を教えてもらい、毎日のセルフケアを行うこと。それに加えて、自分では除去しにくいプラークや歯石は定期健診の際に歯科医院で除去することが、歯周病予防に最も効果的です。

セルフケアとプロフェッショナルケアでしっかりと歯周病対策を

冒頭でお伝えしたとおり、歯周病は非常に罹患率の高い病気で、日本人が歯を失う原因の第一位です。そして、歯周病はお口の中だけでなく、糖尿病や心疾患、脳梗塞、早産など、たくさんの全身疾患に影響を及ぼすことが知られています。

 

お口の健康は全身の健康につながります。歯周病予防のために最も大切なのは、セルフケアで行う日々の歯磨きです。これに加えてしっかりと定期検診を受け、歯科医院でのプロフェッショナルケアで健康なお口を保つように心掛けてください。

 
セルフケアとプロフェッショナルケアでしっかりと歯周病対策を
 

ポラリス歯科・矯正歯科の歯周病治療では、スケーリングやPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)を行い、セルフケアでは除去できないプラークを取り除くことができます。また、歯科衛生士の国家資格を持ったスタッフが、患者さん一人一人に合った歯磨きの仕方もご案内します。

 

「歯茎の出血や腫れが気になる」「歯茎が下がってきたような気がする」「口臭が気になる」といった症状をお感じの方は、お気軽にポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください。