インプラント
インプラント治療の安全性を高める『サージカルガイド』とは?

インプラントを検討しているけれど、外科手術を伴うため、正確にインプラントを埋入できるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
自由診療のため、時間も費用もかかるからこそ、できるだけ安全で確実な方法を選びたいと思うのは当然のことですよね。
近年では、インプラント治療の安全性と精度を高めるための 『サージカルガイド』が広く用いられるようになり、患者さんが安心して治療を受けられるようになってきています。
今回は、サージカルガイドとは何か、なぜ必要なのか、どのようなメリットがあるのかについて、詳しく解説します。
サージカルガイドとは?

サージカルガイドとは、インプラントを顎の骨に埋め込む際に使用する、マウスピースのような形をした手術用の補助装置です。
CT画像とお口の中の型(またはスキャンデータ)をもとに作製され、インプラントを入れるべき位置にあらかじめ小さな穴が開けられています。
手術の際に歯科医師がサージカルガイドを患者さんの口に装着すると、ドリルがその穴に沿って進むため、計画通りの位置・角度・深さでインプラントを埋入できるという仕組みです。
サージカルガイドを使う4つのメリット
サージカルガイドを使用することで以下のようなメリットがあります。
骨の厚み・傾きに合わせて、ミリ単位で最適な位置へ埋入できる

骨が少ない部分にインプラントを埋める場合、ほんの数ミリのズレが大きなリスクにつながることがあります。
サージカルガイドを使えば、計画した角度・深さでドリルが進むため、シミュレーション通りにミリ単位の正確さでインプラントを埋入することができ、安全性が高まります。
神経や血管、上顎洞を避けて安全に手術ができる

インプラント治療で心配されるリスクの一つが、神経や血管の損傷(※)です。特に下顎には下歯槽神経(かしそうしんけい)という神経が通っており、これを傷つけると下唇や顎にしびれが残ってしまうことがあります。

また、上顎では上顎洞(じょうがくどう)という空洞に近いため、インプラントが突き抜けてしまうリスクも考慮しなければなりません。
サージカルガイドを使用すれば、神経との距離がわずか数ミリしかないような難しいケースでも、サージカルガイドが導いてくれるため、神経損傷のリスクを減らすことができます。
(※)インプラント治療における神経損傷については、提携医院であるインプラントオフィス大通のインプラント治療で神経が傷つくことがある?のコラムを併せてご参照ください。
切開が小さく済むため、痛み・腫れを軽減しやすい

通常のインプラント手術では、歯茎を切開し、顎の骨を露出させてから(フラップ)インプラントを埋入します。
しかし、サージカルガイドを使えば、歯茎を大きく切らずに小さな穴を開けるだけでインプラントを埋め込む「フラップレス手術」(※)が可能になる場合があります。
歯茎を大きく切開しなければ、出血も少なく、術後の痛みや腫れも軽減され、日常生活への影響も少なくなります。初めてインプラント治療を受ける方でも、不安が軽減できるでしょう。
(※)フラップレスインプラントについてより詳しく知りたい方は、提携医院である町田歯科のフラップレスインプラント(歯肉を切開しないインプラント)とは?のコラムをご参照ください。
手術時間の短縮が期待できる

サージカルガイドを使うと手術がスムーズに進みます。30分〜1時間以上かかっていた手術が、サージカルガイドを使うことで、時間短縮できるケースも少なくありません。
手術時間が短くなれば、それだけ患者さんの身体への負担も軽くなりますから、特に体力に不安のある方や高齢の方にとってはメリットです。
サージカルガイドの注意点

メリットの多いサージカルガイドですが、注意していただきたい点もあります。
- 保険適用外のため費用がかかる
- 症例によってはサージカルガイドが使えないことがある
- リスクをゼロにするわけではない
サージカルガイドを使用するためには、CT撮影、コンピューターでのシミュレーション、ガイドの設計・作製といった工程が必要です。各工程はすべて保険適用外の費用がかかるため、治療費に上乗せされることになります。
そして、サージカルガイドは、すべての症例に使えるわけではありません。たとえば、口が大きく開けられない方はガイドを装着しにくい・装着できない場合があります。
また、サージカルガイドを使うことでリスクは軽減されますが、100%安全を保証するものではありません。これらは注意点として押さえておいた方が良いでしょう。
サージカルガイドを使った手術の流れ

サージカルガイドを使ったインプラント手術は、以下のような流れで行われます。
- CT撮影・口腔内スキャン(または型取り)
- 3Dシミュレーションで治療計画を立てる
- サージカルガイドの設計・作製
- 手術当日:ガイドを装着してインプラント埋入
…治癒期間を経て被せ物(上部構造)の装着へ
まず、1.患者さんの希望や不安をヒアリングし、歯科用CTで顎の骨や神経、血管の位置、上顎洞との距離を撮影していきます。
続いて、2.コンピューター上で骨の厚みや神経との距離を確認しながら、安全で理想的なインプラントの埋入位置を決定します。この段階で、患者さんにもシミュレーション画像を見せながら説明を行う歯科医院も多いでしょう。

3.2.のシミュレーションで決定した治療計画をもとに、サージカルガイドを作製します。そして手術当日に、4.サージカルガイドを口に装着し、ガイドに沿った的確な位置へインプラントを埋入します。
この後は、インプラントと骨が結合するまで、2〜6ヶ月程度の治癒期間を設けるのが一般的です。治癒期間を経て、最終的な被せ物(上部構造)を装着して治療完了となります。
より全体的な流れについては、インプラント治療の流れのコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
サージカルガイドの使用が推奨されるケース

あらゆるインプラント治療でサージカルガイドが必須というわけではありませんが、以下のようなケースでは特に使用が推奨されます。
- 骨の量が少ない、または骨の質が良くない場合
- 複数本のインプラントを同時に入れる場合
- 前歯部など、審美性が重要な部位の場合
骨が薄いと、埋入位置のズレが大きなリスクにつながるため、サージカルガイドによる誘導が重要になります。
また、前述のとおり、下顎の奥歯付近は下歯槽神経に近く、上顎は上顎洞に近いため、これらの部位では特に用いられることが多いと言えるでしょう。
このほか、複数のインプラント埋入や前歯の審美性が求められる部分では、位置関係がずれると、最終的な噛み合わせや見た目に影響するため、サージカルガイドが用いられます。
安全性を最優先したい方や、手術のリスクが気になる方にとって、サージカルガイドはとても心強い味方になってくれます。
サージカルガイドで安全性・確実性を高めたインプラント治療を

サージカルガイドはインプラントを理想的な位置へ正確に埋め込むための補助装置です。お伝えしてきたように、骨が薄い場所や神経に近い場所でも、安全で正確に手術ができるだけでなく、歯茎の切開を最小限に抑えられるため、術後の痛みや腫れも抑えられるメリットがあります。
保険適用外で費用がかかる点や、すべての症例で使えるわけではないことには注意が必要ですが、「手術が怖い」「失敗したくない」という方にとっては、価値ある選択肢と言えるでしょう。
ポラリス歯科・矯正歯科では、医療法人社団 千仁会の専門医が、丁寧で的確な検査・診断を行ったうえで、患者さん一人ひとりにぴったりのインプラント治療をご提案いたします。
インプラントにしたいとお考えの方や、手術のリスクが気になる方も、札幌駅すぐそばのポラリス歯科・矯正歯科にお気軽にお問い合わせください。
参考文献
- 阿部伸一ほか『デジタルデンティストリー最前線 ― インプラント治療のためのガイドサージェリー活用』医歯薬出版(2019年)
- 日本口腔インプラント学会 編『口腔インプラント治療指針 2020』クインテッセンス出版(2020年)
- Ganz SD. “Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturing Applications Using CT and Cone Beam CT Scans in the Fabrication of Surgical Guides.” Dent Clin North Am. 2008;52(4):777–804.
- D’haese J, et al. “Current state of the art of computer-guided implant surgery.” Periodontology 2000. 2017;73(1):121–133.
- Vercruyssen M, et al. “Accuracy and patient-centered outcome variables in guided implant surgery: a RCT comparing guided surgery with conventional procedures.” Clin Oral Implants Res. 2018;29(Suppl 16):73–83.
サージカルガイドについては、提携医院であるインプラントオフィス大通のインプラント治療で使うサージカルガイドとは?のコラムでも解説しておりますので、インプラントオフィス大通へ通院される方は、そちらも併せてご参照ください。





