歯の治療全般
いびきと歯ぎしりの意外な関係とは?咬筋ボツリヌス注射の効果やメリットを解説

「朝起きると、なぜか顎がだるくて重い」
「家族にいびきと歯ぎしりの両方を指摘された」
「マウスピースを試したけれど、違和感があって続けられない」
このようなお悩みはありませんか?
実はいびきと歯ぎしり・食いしばりには深い関係性があります。いびきによって睡眠の質が下がると、脳が覚醒しやすくなり、無意識に歯を強く食いしばってしまうのです。
この悪い循環を断ち切る選択肢として注目されるのがボツリヌス注射です。
ボツリヌス注射というと、「美容外科のメニューなのでは?」と思われるかもしれませんが、実は歯科医院で受けられる筋肉の緊張を和らげる立派な治療法の一つ。
そこで今回は、いびきと連動して歯ぎしり(※)が起こる理由から、ボツリヌス注射の効果、メリット・デメリットまでを解説していきます。
(※)歯ぎしりの体に及ぼす影響については、歯ぎしりによる弊害のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
なぜいびきをかく人は歯ぎしり・食いしばりを起こしやすいのか
「いびき」と「歯ぎしり」、一見すると別の問題のように見えるかもしれません。しかし、睡眠のメカニズムを考えると、実は意外な関係があるのです。
眠りの深さと歯ぎしりの関係

私たちの睡眠は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を交互に繰り返しています。歯ぎしりや食いしばりは、主に眠りが浅くなったタイミングで起こることがわかっています。
深い眠りに入っているときには、歯ぎしりや食いしばりはほとんど起こりません。
眠りが浅い時に生じる「いびき」

いびきとは、喉の辺りの空気の通り道である上気道(じょうきどう)が、睡眠中に狭くなることで起こる、呼吸時の粘膜の振動です。
空気の通り道が狭いと、息苦しさから脳が覚醒して酸素を取り込もうとするため、いびきをかきやすくなり、自ずと眠りが浅くなります。
つまり、いびきをかいている時は眠りが浅くなっており、浅い眠りの時に生じる歯ぎしりや食いしばりも起こりやすくなるというわけです。
歯ぎしり・食いしばりの治療で用いられるボツリヌス注射とは?

ボツリヌス注射とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンというタンパク質から作られた薬を使う治療法です。このボツリヌストキシンには、筋肉を動かすように指示を出す、神経伝達物質の放出を抑える働きがあります。

エラのあたりにある咬筋(こうきん)に注射すると、筋肉の働きが穏やかになり、歯ぎしりや食いしばりの力を抑えることができます。もちろん、口が閉じられなくなるようなことはありませんのでご安心ください。
なお、歯科や美容クリニックでは「ボツリヌス注射」と呼ばれることが多いのですが、ボトックスはアラガン社が製造する製品の商標名です。他社製のボツリヌストキシン製剤を使用する場合もありますが、いずれも基本的な作用は同じです。
ボツリヌス注射のメリット
咬筋へのボツリヌス注射のメリットは、以下のようなものが挙げられます。
ほとんど痛くない
ボトックスは細い注射針を使って注射しますので、痛みを感じることはあまりありません。
エラの張りの改善

咬筋によりエラが張っている方は、ボツリヌス注射を受けるとエラが小さくなり、小顔効果が得られることがあります。
美容目的で行われることも多い施術ですが、歯ぎしりの治療と同時にこのメリットを得られるのは嬉しいポイントです。
肩こり・頭痛の緩和

歯ぎしりや食いしばりは、肩こりや頭痛の原因になっていることがあります。咬筋の緊張が取れると、連動して首や肩の筋肉の緊張も緩和され、これらの症状が改善するケースがあります。
詰め物や被せ物の寿命が長くなる

歯ぎしりや食いしばりは、詰め物や被せ物の大敵です。ボツリヌス注射で歯ぎしりや食いしばりを抑えられれば、詰め物や被せ物が外れたり壊れたりするリスクを減らすことができます。
ボツリヌス注射のデメリット
もちろん、そんなボツリヌス注射にも、副作用やリスクがないというわけではありません。
根本的な治療ではない

ボツリヌス注射は筋力を抑える治療です。症状の原因自体をなくす治療ではないので、ボトックスの効果が消えると症状が再発する可能性があります。
自費診療である
咬筋へのボツリヌス注射は、保険診療の対象外です。クリニックによって異なるものの、おおよその治療費は、1回あたり数万円ほどです。
一時的に噛む力が低下することがある

咬筋の働きを抑えるため、硬いものを噛む力が一時的に弱くなったと感じることがあります。日常の食事に大きな支障が出ることは稀ですが、施術後しばらくは硬すぎる食べ物を避けると安心です。
効果は永続的ではない

ボツリヌス注射の効果は3〜6ヶ月で徐々に薄れていきます。上述のように、症状が再発した場合は、再度注射を行う必要があります。
ただ、効果に満足できなかった場合も、一定期間で元の状態に戻るという点は、見方を変えればメリットともいえるでしょう。
ボツリヌス注射を受けられない方

以下に該当する方は、ボツリヌス注射を受けることはできません。
- 妊娠中、妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- 重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、神経・筋肉に関わる疾患をお持ちの方
- ボツリヌストキシン製剤にアレルギーがある方
また、治療後は一定期間の避妊が必要です(男性は3ヶ月間、女性は2回の月経を経るまで)。妊娠を計画されている方は、そのタイミングも考慮して、治療を受けるかどうか検討する必要があります。
マウスピース(ナイトガード)との違いと使い分け

マウスピース(ナイトガード)は、睡眠中に装着することで歯同士が直接ぶつかるのを防ぎ、歯や顎への負担を分散させる器具です。
保険適用で作製できる点はナイトガードのメリットですが、「装着感が気になって眠れない」「異物感で逆に眠りが浅くなる」という方も一定数いらっしゃいます。また、マウスピースは歯を守ることはできても、歯ぎしりそのものをなくす治療ではありません。
一方、ボツリヌス注射は、歯ぎしりを起こす元となる咬筋にアプローチする治療です。ボツリヌス注射ならば、装着物がないため、寝ている間の違和感も生じないのが利点です。
ナイトガードとボツリヌス注射の併用も可能

ナイトガードとボツリヌス注射は、併用することも可能です。ボツリヌス注射で咬筋の力を抑えつつ、マウスピースで歯を物理的に保護するという二段構えの対策を取る方もいらっしゃいます。
どちらが自分に合っているか、あるいは両方を組み合わせるかは、担当の歯科医師と相談して決めることをおすすめします。
繰り返す歯ぎしり・食いしばりの根本原因を解決しませんか?

ボツリヌス注射は、小顔などの美容医療のイメージがあるかもしれませんが、歯ぎしりや食いしばりなどの改善にも効果があります。ただ、効果の持続期間は一般的に3〜6ヶ月程度で、症状に応じて、繰り返し治療が必要になることもあります。
歯ぎしりや食いしばりは、不適切な噛み合わせや、ストレスなどが原因になっていることもあります。ポラリス歯科・矯正歯科では、綿密なカウンセリングを通じ、患者さん一人ひとりのお話しをしっかりと伺ったうえで、根本的な原因にアプローチする治療を行いますので、安心してご相談いただければと思います。
いびきの有無にかかわらず、歯ぎしり・食いしばりの症状でお悩みの方は、札幌駅すぐのポラリス歯科・矯正歯科までお気軽にお問い合わせください。





