審美歯科
審美歯科と一般歯科の違いって?
街で見かける病院には、内科、小児科、産婦人科など、専門とする分野によって様々な種類があります。歯科も同じように、口腔外科や小児歯科、矯正歯科など専門分野がいくつかあります。
このような分野の一つに審美歯科があります。審美歯科も、詰め物や被せ物を用いた治療を行うので、「一般歯科との違いが今一つよくわからない」と思う方もいらっしゃるようです。
そこで今回は、審美歯科と一般歯科の違いについてお話しします。
目指す方向性の違い
まず一般歯科と審美歯科では、治療における目指す方向性が違います。以下でご説明しましょう。
一般歯科の目指す方向性
一般歯科では、「痛みを取り除く」「きちんと食べ物を噛める歯に治療する」「正しく発語できるようにする」など、日常生活を送るうえで、困らないようにする治療を行います。
一般歯科でのこうした歯科治療は、歯やお口が備えている機能の回復を第一としたものです。治療が終わった後の見た目よりも、まずは「歯や口内環境を健全な状態にする」ことに重きを置いています。
さすがに前歯部の場合は、見た目が不自然では困るので、相応に違和感のない仕上がりを目指しますが、これはどちらかというと例外で、機能回復を優先した治療であることに変わりありません。
審美歯科の目指す方向性
一般歯科とは異なり、審美歯科では自然で違和感のない仕上がりが得られる治療を目指します。やはり白い歯が見える笑顔は魅力的ですよね。歯がきれいになると、口元の印象が大きく変わります。さらに素敵な笑顔で自信が持てるようになると、QOLの向上にも役立ちます。
もちろん、仕上がりがきれいで違和感がなくても、噛み合わせが悪くて噛めない歯であったり、頬や舌を噛みやすかったりするのは困りますが、審美歯科の治療では、ホワイトニングや矯正治療も行うことができます。
つまり、噛み合わせなどの機能の回復と同時に、見た目の回復も目指しているのが審美歯科の特徴です。
治療に使用する材料の違い
目指す方向性が異なるため、歯科治療に使う材料にも違いが出てきます。
一般歯科で使用する材料
一般歯科で使う歯科材料は、保険診療で決められたものになっています。いずれも、見た目よりコストを重視したものが選ばれます。
近年になって白いプラスチックタイプが選択できるようになりましたが、長い間、いわゆる銀歯しか選べなかったのはこのためです。
具体的には、金属材料では金銀パラジウム合金やチタニウムなど、プラスチック材料ではコンポジットレジンになります。審美歯科で使用する材料と比較すると、治療後の見た目は劣りますが、しっかりと噛むことができ、日常生活でも問題ありません。
審美歯科で使用する材料
審美歯科では、一般歯科と異なり、使用する歯科材料に制限はありません。一般歯科で使う歯科材料では、自然な仕上がりは得にくいので、審美歯科ではセラミック系の歯科材料を使います。
セラミック系の歯科材料としては、人工ダイヤモンドの別名を持つジルコニアというセラミック材料や、二ケイ酸リチウムガラスというガラス系のセラミック材料が主に選ばれています。これらの材料の特徴については、セラミッククラウンの種類のコラムで詳しく解説していますので、ご覧になってみてください。
このような歯科材料を使った被せ物や詰め物は、本物の歯と同じような仕上がりが得られます。もちろん強度もしっかりしているので、噛み合わせの面も問題ありません。セラミック系の材料で治療すれば、自然な仕上がりも、噛み合わせなどの機能も、同時に獲得できるということです。
上で挙げてきた各種治療材料については、詰め物・被せ物のページでも実物の写真を掲載しておりますので、興味のある方は、併せてご参照いただければと思います。
治療費の違い
一般歯科と審美歯科では、治療にかかるコストにも違いがあります。
一般歯科の治療費
一般歯科での歯科治療は、虫歯治療や歯周病治療、入れ歯、抜歯などになります。これらは、いずれも保険診療の適用があります。
保険診療は、診療報酬と呼ばれる治療費も決められており、全国どこの歯科医院で受けても一律です。治療費自体も、世界的に見ても低くおさえられているうえ、窓口で支払う金額は、その3割だけです。一般歯科治療の治療費は、さほど高額にはなりません。
審美歯科の治療費
日本の保険診療は、病気の治療を対象としています。審美歯科の目指す「自然で違和感のない仕上がり」は、病気の治療ではなく、美容医療とみなされているので、審美歯科での治療は、保険診療の適用を受けていません。このため審美歯科の治療費は、一般歯科に比べると高額です。
一例を挙げると被せ物治療の治療費です。銀歯なら、プラスチックと組み合わせて目立ちにくくした前歯部でも、3割負担で7,000円程度ですし、大臼歯という奥歯の銀歯では5,000円程度です。この他に、初診料や再診療、レントゲン写真、歯型採りなどの費用も加わりますが、被せ物代を上回ることはありません。
一方、セラミックの被せ物は、1本あたり10〜15万円になりますし、インプラントなら30万円以上はします。ただ、あまりにコストだけを重視してしまうと、使用する材料も限られるため、劣化や破損が起こりやすく、将来のメンテナンスにおいて、思わぬ出費が発生することもあります。この点はご注意ください。
反面、良質な材料を使用すれば、長持ちし、トータルの出費をおさえることにつながるケースもありますので、審美性(仕上がりのきれいさ)だけでなく、将来的な費用も見据えたうえで、検討するのが良いと言えます。
目的とゴールに応じた歯科治療を
今回は、一般歯科と審美歯科の違いについてお話ししました。一般歯科と審美歯科の目的や、目指すところについてご理解いただけたかと思います。
基本的な歯の治療や機能の回復、コストを重視したい場合は一般歯科が良いでしょう。歯の機能の回復だけでなく、見た目の自然さ・美しさを求めたい場合は審美歯科がおすすめです。
もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、一般歯科でも審美歯科でも患者さんに向き合う姿勢は変わりません。患者さんとじっくりとご相談のうえ、歯科治療のプロの視点を交えつつ、一人一人の患者さんに、将来も見据えた最適なご提案をいたしますので、どのような治療が良いのかお考えの方は、ぜひお問い合わせください。