虫歯なのに削らないって本当?歯を守るための正しい判断とは

虫歯なのに削らないって本当?歯を守るための正しい判断とは
 

学校健診や歯科検診でC1虫歯と言われたけれど、痛みもなく、治療が必要なものなのかと迷っていませんか?

 

虫歯と聞くと、すぐに削って治すものというイメージがあるかもしれません。特に、お子さんの歯となると、どう対応すべきか悩んでしまう方も多いでしょう。

 

実は、小さな虫歯は削らないという選択肢もあるのです。

 

今回は、小さい虫歯はなぜ治療しないのかという疑問にお答えしながら、治療が必要なケースとの違いや、日常で気をつけてほしいポイントをわかりやすくご紹介します。

C1虫歯とは?小さい虫歯の正体

C1はどんな虫歯?

虫歯の進行度 C1:エナメル質が溶けた状態
 

虫歯と聞くと、「痛い」「削る」「すぐ治療が必要」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、その虫歯、ついつい放置していませんか?のコラムでも解説したように、虫歯にもいくつかの進行段階があり、なかでもC1と呼ばれるものは、比較的初期の状態です。

 

C1とは、歯の一番外側にあるエナメル質という硬い層の中で、虫歯がごく浅く進行している状態を示します。

 

まだ歯の内側(象牙質)には達しておらず、痛みなどの症状が出ないことも多いため、自分では気づかないことも珍しくありません。

 

この段階では、見た目には「白く濁って見える」「茶色っぽい溝が気になる」といった変化が現れることもありますが、穴が開いているとは限らず、日常生活に支障が出ることはほとんどないのが特徴です。

自然に治る?放置して良いの?

初期虫歯は自然に治る?放置して良いの?
 

「だからといって、虫歯があるのに何も治療しないで大丈夫なの…?」
そうお感じになるのもよく分かります。

 

ただ実際には、C1の段階では、必ずしもすぐに削って治療するとは限らず、歯の状態や生活習慣を見ながら経過を観察するという対応を選ぶこともあるのです。

 

もちろん放置するのと、きちんと見守るのとは別のことです。痛みがなくても、虫歯が進行しやすい口内環境であれば、注意深く管理していく必要があります。

 

逆に、口内環境が悪くないのであれば、毎日の歯磨きや食習慣を整えることで、虫歯の進行を抑えられるケースも少なくありません。

 

大切なのは、「今、治療が必要なのか」だけでなく、「この先どうすれば歯を守れるのか」を考えていくことです。

検診で「C1」と言われたら

検診で「C1」と言われたら
 

「C1」と書かれた学校健診の紙を見て、戸惑ったことはありませんか。
「虫歯と書かれているのに、特に治療の案内もない…放っておいて平気なの?」と心配になる保護者の方も多くいらっしゃいます。

 

実は学校や集団検診では、あくまで簡易的なチェックしか行われません。C1と判断されても、実際には歯科医院での精密な検査によって、経過観察で十分と診断されることもあります。

 

大切なのは、慌てて治療を始めることではなく、「今の状態を知ること」です。

 

痛みがなくても進行していることもあれば、正しくケアできていれば様子を見て良いこともあります。まずは、一度かかりつけの歯科医院で詳しく診てもらい、最適な対応を一緒に考えてみるようにしましょう。

小さい虫歯を削らない3つの理由

歯の寿命をできるだけ延ばすため

小さい虫歯を削らない3つの理由:歯の寿命をできるだけ延ばすため
 

歯は一度削ると元の状態には戻りません。初期の虫歯であっても、削ることで歯の構造が弱くなり、将来的に欠けたり割れたりするリスクが高まります。さらに、詰め物の寿命には限りがあり、数年後にやり替えが必要になることもあります。

 

こうした治療の繰り返しによって、歯は少しずつ小さく、もろくなっていきます。そのため、できるだけ削らず、長く自分の歯を使っていくことが大切なのです。

 

C1のような初期虫歯では、今すぐ削るよりも、進行を抑えて守る選択をすることで、「治す」より「残す」という考え方が近年は重視されています。

二次カリエスのリスクを減らすため

小さい虫歯を削らない3つの理由:二次カリエスのリスクを減らすため
 

一度治療をした歯が、再び虫歯になることを二次カリエス(再発)といいます。これは詰め物や被せ物のすき間に汚れがたまったり、時間の経過で接着剤が劣化したりすることで、治療した部分の周辺が再び虫歯になることをいいます。

 

小さい虫歯をすぐに削って治すことが、かえって再発を促してしまう可能性もあるため、そうしたリスクを避けるためにも、「今は削らずに見守る」という判断が採られることがあります。

予防と再石灰化で進行を止められるから

小さい虫歯を削らない3つの理由:予防と再石灰化で進行を止められるから
 

C1は、適切なケアを行うことで進行を食い止められることがあります。

 

歯の表面は毎日少しずつミネラルが溶け出したり、元に戻ったりする脱灰(だっかい:歯の表面が溶け始める)と再石灰化(歯が自然な力で修復する)を繰り返しています。

 

このバランスが崩れて脱灰が優位になると虫歯になりますが、歯磨きやフッ素の活用、間食のタイミングを見直すことで、再石灰化が優位に働く状態を保つことができます。

 

もちろん、すべての虫歯が進行しないわけではありませんが、C1のような初期段階であれば、削る前にできることがあるという考えがあることを知っておきましょう。

逆に治療した方がいい状況とは?

痛みや穴がある虫歯

治療した方が良い虫歯:痛みや穴がある虫歯

「ズキズキする」「冷たいものがしみる」といった症状がある場合は、虫歯がある程度進行している可能性があります。

 

C1の段階ではあまり症状が出ませんが、痛みや違和感が出てきたときには、すでに象牙質(C2)や神経(C3)に近づいていることもあります。

 

また、見た目に明らかな穴が確認できるようであれば、それは表面のエナメル質を越えて進行しているサインかもしれません。

 

こういった状態は、早めの処置が必要になることが多い状態です。気になる症状がある時は、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く歯科医院を受診するようにしましょう。

虫歯リスクが高い人の場合

虫歯リスクが高い人の場合
 

虫歯の進行スピードには、生活習慣や体質も大きく関係します。たとえば、間食の回数が多い、ジュースや甘いものをよく摂取する、歯磨きの習慣が安定しないといった方は、虫歯のリスクが高い傾向があります。

 

また、唾液の量が少ない方や、矯正装置を使っている方、フロスなどの補助器具が上手く使えていない方も、虫歯の進行を防ぎにくいタイプと言えるでしょう。

 

このような場合、小さな虫歯でも進行しやすいため、経過観察よりも早めに治療をすすめる判断が採られることがあります。歯科医院では、こうした背景も含め、総合的に治療の必要性を判断します。

歯科医が治療を勧める具体例

歯科医が治療を勧める具体例
 

小さな虫歯でも、進行の兆しが見られる場合には、歯科医師が治療を提案することがあります。

 

たとえば、前回よりも虫歯の色が濃くなっている、範囲が広がっている、レントゲンで変化が見られるといったことがその目安になります。

 

また、削らずに経過観察していたものの、数ヶ月後の検診で状態が悪化していれば、必要なタイミングで最小限の処置が行われることもあります。

初期虫歯と上手に付き合うには

定期検診とセルフケアが重要

初期虫歯と上手に付き合うには:定期検診とセルフケアが重要
 

C1のような初期段階の虫歯は、すぐに削らず経過を見ることもありますが、その間に何もしないわけではありません。大切なのは、虫歯が進行しないようにコントロールするという意識です。

 

そのためにまず欠かせないのが、定期的な歯科検診です。短時間のチェックでも、前回と比べて進行していないか、ブラッシングがうまくできているかを確認することができます。

 

もちろん、日々のセルフケアも見直しましょう。磨き残しが多い場所の確認や、フロスの使い方などは、歯科衛生士からのTBI(Tooth Brushing Instruction:歯磨き指導)によって、改善できることが多くあります。

 

コラムでも常々取り上げていますが、毎日の正しい歯磨きによるセルフケアと、歯科医院での定期検診によるプロフェッショナルケアの2つが揃うことで、小さい虫歯とも無理なく付き合っていけるでしょう。

子どものC1への対応

子どものC1への対応
 

先ほども触れたように、学校検診などでC1と書かれたお知らせをもらうと、保護者の方は心配になるかもしれませんが、C1はあくまで初期段階です。すぐに削る必要はないことも多く、定期的なフォローで様子を見るケースもあります。

 

子どもの虫歯ケアで大切なのは、ただ治療するかどうかではなく、日々の生活の中で虫歯になりにくい環境をつくることです。仕上げ磨きやおやつのタイミング、飲み物の選び方など、ちょっとした工夫で虫歯のリスクを減らすことができますから、日頃の習慣を見直してみるのも大切です。

 

歯科医院では、子どもの性格や状況に合わせて、無理のないペースでケアを進めることができます。 焦らず、まずは相談してみましょう。

「削るか」ではなく「守れるか」~治療の判断は信頼できる歯科医院で

「削るか」ではなく「守れるか」~治療の判断は信頼できる歯科医院で
 

虫歯と聞くと「治療=削るもの」というイメージがあるかもしれませんが、最近では「なるべく削らずに歯を守る」という考え方が広がってきています。

 

C1の虫歯は、進行がゆるやかで、再石灰化によって進行を抑えられる可能性もあるため、削らずに経過を見るという選択になることも多くなります。

 

歯を長く健康に保つためには、削るかどうかだけでなく、歯を自然な力で修復するしくみを促すケアや、日々の生活習慣の見直しがとても大切です。経過観察を選んだ場合も、定期的なチェックと予防的なケアを続けることを忘れないでください。

 

もちろん、すべての虫歯に経過観察が当てはまるわけではありません。だからこそ、「今の状態なら守れるのか、それとも治療が必要なのか」を見きわめることがポイントになります。

 

その判断については、信頼できるかかりつけの歯科医院で相談しましょう。ポラリス歯科・矯正歯科は、医療法人社団 千仁会の専門医が多く在籍し、お子さんの虫歯についても、豊富な知見に基づき、的確な対応を行っています。お子さんの歯の状態が気になる親御さんも、一人で悩まずに、札幌駅すぐそばのポラリス歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。