インレー治療での歯の削り方について

インレー治療での歯の削り方について
 

現在の歯科治療では、歯の機能や見た目を回復させるために、虫歯になったり欠けたりした歯を削って形を整えた後に詰め物や被せ物を装着する方法が一般的です。

 

虫歯治療などでよく使われる修復物の一つに、詰め物・被せ物ページでもお伝えしているインレーという詰め物があります。

 

このインレーで治療を進める場合、長持ちするように、適切な形で歯を削る必要があります。しかし、どのような種類の詰め物や被せ物を用いるかによって、歯の削り方は異なってきます。

 

そこで今回は、インレーで歯を治したい時の歯の削り方についてご紹介します。

そもそもインレー治療とは

そもそもインレー治療とは
 

インレーは、主に奥歯の噛み合わせ面にできた、比較的小さな虫歯を治療する際に用いられる詰め物のことです。

 

インレーによる治療は、例えば、歯と歯の間にできた虫歯を治す際や、以前コラムでもご紹介した、プラスチック製のコンポジットレジンという詰め物では、十分な強度が得られないと考えられる場合に選択されることが多くなります。

インレーの種類

インレーは、使用する材料によっていくつかの種類があり、現在、主に利用されているインレーは、次の3種類です。

メタルインレー

メタルインレー
 

金属で作られたインレーのことです。保険診療では金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)が、自費診療では金合金(金歯)などが用いられます。

CAD/CAMインレー

CAD/CAMインレー
 

CAD/CAM(キャドキャム:Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturing)インレーは、コンピューターで設計し、専用の機械でセラミックやコンポジットレジンのブロックを削り出して作るインレーのことです。

 

保険診療の対象となる場合があり、歯に近い色の素材を用いるため目立ちにくいという利点があります。一方で、金属製のインレーと比較すると強度がやや劣るデメリットがあります。

セラミックインレー

セラミックインレー
 

セラミックインレーは、セラミック(陶材)で作られたインレーです。自費診療となるため費用は比較的高くなりますが、天然の歯に近く、白く美しい見た目に仕上がります。

 

セラミックインレーは、一見しただけでは治療した箇所が分かりにくいほど自然で、また、強度にも優れているのがメリットです。

 

セラミック素材の特徴については、以前ご紹介したセラミッククラウンの種類のコラムで詳しく解説していますので、興味のある方は、併せてご参考になさってください。

インレーの種類に応じた歯の削り方

まず、少し専門的になりますが、歯の削り方に関連する用語を押さえておきましょう。

 
歯の削り方における用語
 

インレーを入れるために歯を削ってできた穴を窩洞(かどう)と呼びます。この窩洞には、壁にあたる部分(窩壁:かへき)、縁の部分(窩縁:かえん)、壁と壁が交わる角(隅角:ぐうかく)、底の部分(窩底:かてい)といった部位ごとの名称があります。

 

前述したインレーの種類によって、これらの形状が異なってくるのです。以下でご紹介しましょう。

メタルインレーで治す時の歯の削り方

メタルインレーで治す時の歯の削り方
 

メタルインレーを入れるための窩洞は、断面が箱のような形で、壁(窩壁)も底(窩底)も平らに形成します。

 

また、入り口が奥よりも少し広くなる外開き型にして、窩洞の上端の縁(窩縁)は少し削って斜めに整える必要があります。

保持形態

インレーが外れないように付ける、窩洞に引っかかる部分を保持形態といいます。この保持形態には様々な形がありますが、その一つがメタルインレーに用いられる鳩尾形(きゅうびけい)です。

 

鳩尾形は、カーブを複雑に組み合わせた形になっており、いずれかの部分が引っかかり、外れないようになっています。

幅やサイズ

インレーの幅が最も狭くなる部分をイスムスといいますが、イスムスは、最低でも1.5mm程度の幅を確保しなければなりません。

 

隣の歯との境目(隣接面)までインレーが及ぶ場合は、その部分を階段状のボックスと呼ばれる形態にし、ボックスにも最低1.5mmの厚みを持たせます。これらの幅や厚みが不足すると、インレーが外れる原因になるためです。

 

なお、隣接面を形成する時は、隣の歯を削るのを防ぐため、隣接面を0.5mmほど残すように削ります。

CAD/CAMインレーで治す時の歯の削り方

CAD/CAMインレーで治す時の歯の削り方
 

CAD/CAMインレーの場合も窩洞は外開き型ですが、全体的に丸みを帯びた形状になります。

 

これはCAD/CAMインレーが、歯科用プラスチックなどのブロックを回転する器具で削り出して作製されるため、角のある精密な形を作るのが技術的に難しいためです。

 

外開きの角度はメタルインレーより大きく、4~6度程度にします。また、窩洞の上端は、メタルインレーのように斜めに削ると、薄くなり、割れる可能性があるため、CAD/CAMインレーでは削りません。

保持形態

CAD/CAMインレーは、歯に接着しやすいので保持形態は必要ありません。

幅やサイズ

CAD/CAMインレーのイスムスは1.5mm以上にします。

 

歯の山の頂上部分(咬頭:こうとう)を覆う場合は、その部分にも1.5mm以上の厚みが必要です。隣の歯との隣接面は、1.0mm以上の厚みを持たせます。

セラミックインレーで治す時の歯の削り方

セラミックインレーで治す時の歯の削り方
 

セラミックインレーの窩洞も、CAD/CAMインレーと同様に、角がなく、丸みを帯びた外開き型に形成します。

 

外開きの角度もCAD/CAMインレーと同じく4~6度程度です。窩洞の上端も、割れるリスクを避けるために斜めにはしません。

保持形態

セラミックインレーも歯との接着性が良好なため、保持形態は考慮せず、比較的単純な形でも問題ありません。

幅やサイズ

セラミックインレーのイスムスは1.0mm以上全体の厚みも1.0mm以上と、必要な厚みなどの制約が若干少なくなります。

インレー治療をご検討の方へ

 

今回は、インレーで虫歯などを治療する際の歯の削り方についてお話ししました。インレーの種類には、保険診療のメタルインレーから、自費診療のセラミックインレーまで、様々なものがあります。

 

ただ、歯の削り方は素材によって異なりますので、歯科医院にはそれぞれの削り方の違いを十分理解しておくことが求められます。

 
ポラリス歯科・矯正歯科がご提供する豊富なインレー
 

詰め物・被せ物ページでもお伝えしているとおり、ポラリス歯科・矯正歯科では、保険診療から自費診療まで、様々なインレーをご用意し、綿密なカウンセリングに基づいて、患者さん一人一人にぴったりのインレー治療をご提供いたします。

 

「どの種類のインレーが自分に合っているのだろう?」「費用や見た目の違いについて詳しく聞きたい」など、インレー治療に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽に札幌駅すぐそばのポラリス歯科・矯正歯科にお問い合わせください。