歯の治療全般
お口の中でピリッとした痛みが走る?ガルバニー電流とは

お菓子や食品のアルミの包みや、アルミホイルなどを知らず知らずに噛んでピリッと感じた経験はありませんか?
「ただの知覚過敏かな?」「歯が少し痛んでいるのかな?」…そんな風に思ってそのままにしている方も多いかもしれません。
実はこれは、ガルバニー電流(ガルバニーショック)と呼ばれる現象が原因である可能性があります。ガルバニーショックは、アルミホイルだけでなく、虫歯治療で使う金属によっても起こることがあります。
そこで今回は、お口の中の金属が引き起こすガルバニー電流とはなにか、原因や解決策などについて紹介します。
ガルバニー電流とは?

ガルバニー電流とは、お口の中にある異なる金属間で発生する弱い電流のことです。「口の中で電気が発生する」と聞くと信じられない方もいらっしゃるかもませんが、実は日常的に起こりうる科学的な現象です。
まずは、なぜ口の中で電気が発生してしまうのかメカニズムと原因について見ていきましょう。
ガルバニー電流の原因

ガルバニー電流が流れる原因を一言で説明すると、お口の中に小さな「電池」ができてしまっているからといえます。
ただ、お口の中に電池ができていると言われても戸惑いますよね。理科の実験で、レモンに銅板と亜鉛板を差して電気を起こす実験を見たことはありませんか?実はそれと同様のことが、あなたのお口の中で起きているのです。
唾液が電解質となってイオン化傾向の異なる金属間で電流が生じる

お口の中は唾液で満たされています。唾液は、電気を通す性質を持つ「電解質液」としての役割を果たします。そして、そこに種類の異なる歯科用金属(詰め物や被せ物)が存在すると、電気の通り道ができてしまうのです。
金属にはそれぞれ、水に溶け出してイオンになりやすい性質の強弱(イオン化傾向)に違いがあります。 例えば、金のように安定した金属と、アマルガムや銀合金のようなイオン化しやすい金属が混在していると、その性質の差(電位差)によって電子の移動が起こります。
この電子の流れこそが電流の正体です。 つまり、種類の違う金属が「電極」、唾液が「電気を通す液体」となることで、口腔内が電池のようになっているのです。
ガルバニー電流が発生しやすい組み合わせ
銀歯と金歯

銀歯は、金銀パラジウム合金という合金で作られた被せ物で、保険診療の治療でよく使われています。
金と銀は、電子の出しやすさであるイオン化傾向が大きく異なり、銀歯と金歯の間で電気が発生しやすい傾向があるのです。
以前治療した銀歯があり、新しく金歯を入れたような場合、隣り合う歯や噛み合う歯同士で回路ができ、ピリピリとした痛みを感じることがあります。
銀歯とアマルガム

アマルガムは、水銀で作られた詰め物です。30代〜50代以上の方の中には、過去に治療された経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
現在、アマルガムは健康リスクからほとんど使われなくなりましたが、昔の治療跡としてお口の中に残っているケースは多くあります。
このアマルガムはイオン化しやすいため、銀歯などの他の金属と反応してガルバニー電流を発生させる原因となります。
ガルバニー電流の症状
ガルバニー電流の症状には個人差があります。
ピリッとする痛み・しびれ

まず挙げられるのが、電気が発生することによるピリピリとした痛みです。特に、食べたり飲んだりしたときに出やすいといえます。
口の中に広がる金属の味
ガルバニー電流が発生すると金属イオンが溶け出すため、金属の味を感じることもあります。
金属アレルギー

金属アレルギーは、金属から溶け出した金属イオンにタンパク質が結合して生じるアレルギー反応のことを指します。
ガルバニー電流が発生するということは金属から金属イオンが溶け出している状態なので、金属アレルギーの原因になる可能性があります。
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん:頬の粘膜や舌に白いレース状の模様ができ、ただれて痛む難治性の病気)や、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:手のひらや足の裏に、水ぶくれが繰り返しできる皮膚病)などは金属アレルギーとの関連性が指摘されていますので、ガルバニー電流によって起こる可能性もゼロではありません。
ガルバニーショックを防ぐには
ガルバニーショックを防ぐには、ガルバニー電流が発生しないようにするほかありません。そのためには、お口の中から金属材料を全て取り除くようにします。
金属材料を外した後は、電気を通さない安全な材料に置き換えることが、根本的な解決策となります。これがコラムでも解説したメタルフリー治療です。
メタルフリー治療には、保険診療と自費診療それぞれに選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った治療法を選ぶようにしましょう。
コンポジットレジン充填
コンポジットレジンは歯の色に似たプラスチック材料です。前歯の縁や奥歯の噛み合わせ面など、歯のごく一部に生じた虫歯の治療に用いられています。
歯の色に似ていて目立ちにくいうえ、歯を削る量が少なければ、最短で当日のうちに治療を終えることができるのが利点です。
コンポジットレジンについては、治療に欠かせない歯科材料『コンポジットレジン』って?のコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。
CAD/CAM冠

こちらも上述のコンポジットレジンのコラムでお話ししていますが、CAD/CAM冠とは、コンポジットレジンでできたブロックを、コンピューター制御の専用機械で削り出して作る被せ物のことです。
コンポジットレジンですから目立ちにくく、プラスチック製ながらも噛み合わせの力に耐えられるだけの強度を持っているのが特徴です。
セラミッククラウン・セラミックインレー
詳しくはセラミッククラウンの種類のコラムで解説していますが、セラミッククラウンはセラミックで作られた被せ物のことを指し、インレーは、奥歯の噛み合わせ面など、歯のごく一部にできた虫歯を治すために用いられるセラミック製の詰め物のことをいいます。
メタルボンド(陶材焼付鋳造冠:とうざいやきつけちゅうぞうかん)という、内側に金属を使ったセラミックもありますが、これではガルバニー電流のリスクが残ります。
現在では、内面の補強もセラミックにしたジルコニア・オールセラミッククラウン、ガラス系セラミックを使い、内面の補強を必要としないe-maxの方が多くなっています。
ジルコニア・オールセラミッククラウンとe-maxの違いについては、二ケイ酸リチウムセラミックって?e-maxの特徴やジルコニアとの違いをわかりやすく解説のコラムでお伝えしておりますので、興味のある方は、併せてご参考になさってください。
セラミック製のインレーやクラウンは、金属を一切使わないのでガルバニー電流が発生しませんし、白く美しいため審美性に富み、普通の歯と見間違えるほどの仕上がりの自然さを持ちながら、高い強度も保てるという優れた特長があります。
お口の中のはっきりとしない痛みや不快感でお悩みの方は札幌駅すぐのポラリス歯科・矯正歯科へ

今回お伝えしたように、ガルバニーショックとは、お口の中に異なる材質の金属をつけたときに生じるガルバニー電流による痛みのことを指し、それを防ぐには、金属を一切使わない治療に変える必要があります。
ガルバニー電流の症状は、金属の味がする、金属アレルギーの原因になるなど様々ですが、お口の中のはっきりとしない痛みや不快感でお悩みの方は、もしかしたらガルバニーショックによるものかもしれません。
ポラリス歯科・矯正歯科では、メタルフリー治療も行っておりますので、今回のコラムをお読みになり、当てはまる点をお感じの方は、ぜひ札幌駅すぐのポラリス歯科・矯正歯科へご相談ください。









