皆さんはフィステルという言葉をご存知でしょうか？なかなか馴染みのない言葉ですので、聞いたことがない方も多いかもしれませんね。

 

フィステルとは、歯茎にできるおできのようなものです。専門的には、瘻孔（ろうこう）、内歯瘻（ないしろう）、サイナストラクト（sinus tract）などと呼ばれることがあります。

 

フィステルは歯茎の頬側、舌側、どこにでもできる可能性があります。また、フィステルができても、基本的に強い痛みが出ることはあまりなく、自覚症状としては、歯茎の腫れや舌で触った時の違和感がある程度です。

 

フィステルは一度潰れても、また膨らんで潰れるという症状を繰り返すことが多く、このような状態が気になって、来院される方がいらっしゃいます。

フィステルの原因は？

フィステルの原因としてはいくつか考えられますが、一般的には細菌感染が原因で起こります。口腔内は常在細菌がいるため、何らかの理由でそれらが歯の中や歯根（歯の根っこの部分）の先まで到達し、感染を引き起こしてしまうのです。

 

分かりやすくするために、以下で代表的な原因とその処置について挙げていきましょう。

歯根部分の感染

フィステルができる代表的な原因の一つがこれです。虫歯治療などを行って、被せ物を入れた歯の周囲の歯茎に、フィステルができることがあります。被せ物を入れた当時は良かったかもしれませんが、時間経過とともに、どこからか細菌が感染してしまい、フィステルを作るのです。

   

この場合、一般的には歯根や、その先の部分が感染していると考えられるため、根管治療をすることが多くなります。根管治療をする際は、被せ物を外して処置を行いますが、治療する箇所によっては、被せ物を外さずに外科的な処置を行うケースもあります。

 

根管治療については、各種コラムでも詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

歯周病

歯周病が進み、歯茎から感染を起こしてフィステルを作ることがあります。この場合、歯根の先にある歯槽骨や、その周辺組織がダメージを受けている状況が考えられます。

 

まず歯の神経がきちんと生きているのか検査を行い、必要であれば根管治療を行います。歯周病だけが原因であれば、歯周病治療を行いますが、一般的に行われる歯石取りだけではなく、外科的な処置が必要になるケースもあります。また、歯の揺れがひどいなど、症状が強い場合は抜歯になることもあります。

歯にヒビが入った、歯が割れてしまった

 

フィステルができている周辺の歯に、ヒビや割れが認められることも少なくありません。ケガや事故などで歯にヒビが入ってしまったり、割れてしまったりすると、そこから細菌感染が起きてしまいます。

 

また、根管治療によって神経を抜いている歯にも注意が必要です。根管治療をした歯は削っているため、元々の歯よりも自分の歯の量が少なくなっています。ここに噛む力が加わると、時として歯が割れてしまうことがあります。

 

ヒビの入り方や割れ方によって治療方針は異なりますが、割れている歯を元に戻すことは非常に難しく、仮にセメント等で定位置に戻しても、噛む力に耐えられず、再び割れる可能性も高いため、結果として抜歯せざるを得ないケースもあります。

 

小さなヒビであれば、歯茎を切ってヒビを埋める処置が可能かもしれませんが、補強はできても割れる前の状態に戻せるわけではありません。

フィステルを放置しないように

 

冒頭でも触れましたが、フィステルは無症状なことも多いため、そのままにしている方もいらっしゃいます。しかし、フィステルはそのままにしても腫れたり潰れたりを繰り返し、このような慢性的な炎症があると、周囲の骨や組織がさらにダメージを受けることになるので、放置してしまうのは避けてください。

 

体調を崩したり、ストレスや寝不足などによって免疫力が低下すると、周辺に痛みが出ることもあり、今まで何の症状がなかったのに、急に腫れてしまうということも珍しくありません。

 

お伝えしたように、虫歯治療などを行い被せ物をした歯、以前に根管治療で神経を抜いた歯、外傷や転倒などで傷めた歯などには特に注意が必要です。

   

フィステルを放置することにより、悪影響が広く及ぶ可能性もあるため、自己判断をせずに、必ず歯科を受診して、状態を確認してもらいましょう。

 

ポラリス歯科・矯正歯科には多くの専門医が在籍し、患者さんのお口の状態を常に最良のものに保てるよう、サポートいたします。フィステルが気になる方も、ぜひポラリス歯科・矯正歯科にお問い合わせください。